アメリカで起業するとき借金は必要?SBA融資と良い借入の判断基準

はじめに

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起業するとき、自己資金が足りなければ、借金をしてでも始めるべきなのでしょうか。

それとも、無借金で堅実に進めるべきなのでしょうか。

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先日、ある知り合いから、まさに同じ相談を受けました。

借金をするべきか、無借金で行くべきか。

これは職種にもよりますし、その人の性格にもよるため、ひと言で「こうすべき」と答えるのが本当に難しいテーマです。

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この記事では、私がその知り合いに「無借金のほうが良い」とアドバイスした理由を起点に、起業時のお金の考え方を整理していきます。

借金そのものの善悪ではなく、「何に使い、何から返すのか」という視点で見ていきましょう。

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起業の借金に「全員共通の正解」はない

起業時の資金計画を考える

はじめにお伝えしておきたいのは、起業時の借金に、すべての人へ当てはまる正解はないということです。

同じ金額を借りる場合でも、事業の内容、利益率、売上が入ってくるまでの期間、経営者自身の経験によって、その意味は大きく変わります。

仕入れた商品を短期間で販売できる物販と、顧客を獲得するまでに時間がかかるサービス業とでは、必要な資金も、返済までの流れもまったく異なります。

だからこそ「借金をするべきか」と問う前に、まず「この事業で借金をする意味があるのか」と考える必要があります。

自己資金と借入の基本的な違い

自己資金で始める最大のメリットは、売上が計画どおりに立たなくても、毎月の返済に追われずに済むことです。

事業の方向を見直したり、時間をかけて顧客を増やしたりする余裕も残ります。

一方の借入には、手元資金だけでは届かない規模の事業を、早く始められるというメリットがあります。

また出資と違い、通常は会社の所有権を手放さずに資金を調達できます。

ただし、売上が予定どおりに立たなくても、元金と利息の返済は続いていきます。

なぜ知り合いには「無借金」を勧めたのか


結論から言うと、私はその知り合いに「無借金のほうが良い」とアドバイスしました。

というのも、彼の事業は、すぐに在庫を扱うようなものではなかったからです。

そうなると、起業時に借りたお金は何に回るのかと考えたとき、商品のようにリターンを生むものではなく、家賃や給料といった固定的な支出に充てられる可能性が高いと感じました。

こうした固定的な支出も事業には必要なものですが、売上とのつながりや黒字化までの道筋が見えないまま借入で補填し続けても、それ自体が新しい売上を生むわけではありません。

これを繰り返していては、返せるメドが立たなくなってしまいます。

今回、無借金を勧めた一番の理由は、まさに返済につながる具体的な使い道が見えなかったからです。

借金で「気持ちが大きくなる」問題


むやみに借金をすると、こんなリスクもあります。

それは、気持ちが大きくなってしまう問題です。

これまで大きなお金を扱ったことのない方が、たとえ借金であっても、まとまった額を手にしてしまうと、ときに誤ったお金の使い方をしてしまうことがあります。

よくあるのが、自分を大きく見せようとしてしまうケースです。

身なりにこだわったり、愛車をベンツにしてしまったり、高級腕時計を身につけたり。

お店の見た目に必要以上にお金をかけることもあります。

自分で稼いだお金で買うのであればまだしも、これを借金でやってしまうのは避けたいところです。

「投資」と「見栄」は分けて考える

借りたお金が口座に入ると、預金残高だけを見て「使えるお金が増えた」と錯覚しやすくなります。

けれども、その金額は売上でも利益でもなく、期限が来れば利息を付けて返さなければならないお金です。

もちろん、店舗の外観や身なりにお金を使うこと自体が、すべて無駄というわけではありません。

同じ改装でも、お客様が入りやすくなり客数や単価が上がる見込みがあるなら投資になり得ます。

一方で、経営者の満足や見栄だけが目的なら、返済の原資は生まれません。

「この支出によって何が変わり、いつ、いくら回収できるのか」を問い直すことが大切です。

ざる勘定になってしまう問題


次に気をつけたいのが、ざる勘定になってしまう問題です。

1円単位にこだわらなくなってしまう、という状態ですね。

これは経営者として、絶対に避けたいことだと考えています。

特に消費や浪費の場面では、もっとお得なやり方はいくらでもあります。

それをせずに、1円単位を気にせずいろいろなものを買ってしまうと、経済的に苦しくなるだけではありません。

騙される、という問題も出てきます。

経営者自身のお金の管理が甘いと、重複請求や不自然な費用に気づくのが遅れたり、

その甘さにつけ込もうとする人が、身内か外部かにかかわらず出てきたりすることもあるからです。

だからこそ経営者は、特にお金については抜け目なく、ネガティブな要素を作らないようにしたいものです。

「1円単位にこだわる」の本当の意味

ここでいう「1円単位にこだわる」とは、ただ安いものを選ぶという意味ではありません。

必要なところにはしっかりお金を使いながら、何にいくら使い、どんな効果があったのかを把握する、という意味です。

毎月の売上、粗利益、固定費、現金残高、借入残高を確認する。

予算と実績を比べる。

事業用と個人用の支出を分ける。

こうした基本ができていれば、無駄遣いにも不自然な請求にも気づきやすくなります。

細かい数字を見る習慣は、経費を減らすためだけではなく、会社を守るための内部管理でもあります。

むやみに人を雇う問題

起業初期の採用判断

もう一つ、起業初期に気をつけたいのが、むやみに人を雇ってしまう問題です。

稼いだお金の中から、「ここに人が一人いれば売上がもっと立つ」という見込みがあるなら、雇用は前向きな判断になります。

けれども、借金から給料を出して人を雇うというのは、やはり慎重になったほうがよいと考えています。

雇用には給与だけでなく、税金や保険、福利厚生、採用や教育にかかる時間など、さまざまなコストがかかります。

その人が加わることで増える粗利益が、これらの費用と借入の返済を上回るのか。

「人がいたほうが楽になる」ではなく、「人が加わることで、いつから、どれだけ利益が増えるのか」まで説明できるかどうかが、判断の分かれ目になります。

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「何に使うか」より「何から返すか」

借入金と返済原資の流れを考える

ここまでの話を整理すると、借金を考えるときに大切なのは「何に使うか」だけではありません。

それ以上に大切なのが「何から返すのか」です。

借りたお金で商品を仕入れ、その商品を売った代金から返すのであれば、お金の流れは比較的わかりやすくなります。

反対に、借りたお金を家賃や給料、雑費に使い、その支出によって売上がいつ、いくら増えるのかが見えない場合は、返済の原資がはっきりしません。

固定費を借金で払い続けるリスク

固定費の怖いところは、売上がなくても毎月発生することです。

家賃、給料、保険、システムの利用料などは、一度契約したり雇用したりすると、簡単にはゼロにできません。

1か月だけ不足を補うつもりでも、翌月も売上が立たなければ、再び借入が必要になります。

そこに返済と利息が加われば、翌月以降の固定支出は以前より重くなります。

固定費に借入を充てる場合は、「いつ黒字になるのか」「黒字になるまで総額でいくら必要なのか」「計画より遅れたときにどうするのか」まで考えておきたいところです。

運転資金の借入が合理的になるケース

もちろん、運転資金への借入が合理的な場合もあります。

たとえば、大きな注文を受けているものの、入金は納品後になるため、それまでの材料費や人件費が必要になるケースです。

受注額、入金の時期、必要な経費が見えていれば、売上が入るまでの時間をつなぐ借入として考えられます。

同じ「給料への支出」でも、売上の見込みがないまま雇用を続けるための借入と、すでに確定した仕事を仕上げるための一時的な人件費とでは、意味がまったく異なります。

大事なのは、借入と売上のつながりを自分の言葉で説明できるかどうかです。

それでは「良い借金」とは何か


ここまでリスクの話を続けてきましたが、私自身は借金そのものを否定しているわけではありません。

私が比較的合理的だと思えるのは、リターンが出るものへの借金です。

私たちのような物販で言えば、商品、つまり在庫の仕入れ費用のための借金がこれにあたります。

ある程度売れるメドが立っている自分の商品であれば、売れたら返済し、利息も利益の中から払えます。

結果的に手元の資金が増えるのですから、これは前向きな借金だと感じています。

仮にその商品が思うように売れなくても、多少値下げをして現金化できれば、返済に充てられる可能性があります。

「良い借金」をもう少し具体的にすると

良い借金という言葉をもう少し具体的にすると、借りた金額に利息や手数料を加えた総返済額を上回るお金を、返済期限までに生み出せる見込みのある借金、と言えます。

在庫だけでなく、生産能力を高める設備や、すでに需要が確認できている商品の仕入れ、確定した受注をこなすための運転資金なども、この考え方に入ります。

反対に、売上とのつながりが見えない支出や、返済までの期間がわからない支出に使う借金は、金額が小さくても危険度が高くなります。

在庫への借入にもリスクはある

ただし、在庫なら何でも安全というわけではありません。

想定した価格で売れない、売れるまで時間がかかる、型落ちや流行の変化で価値が下がる、といったリスクは常にあります。

値下げして現金化できても、値下げ幅が大きければ、仕入れ価格や利息を回収できないこともあります。

だからこそ、過去の販売実績や利益率、売れるまでの日数、最悪の場合の処分価格まで見ておきたいところです。

「売れるはず」ではなく、「どのくらいの確率で、いつまでに、いくらで売れるのか」が見えている在庫であることが重要です。

アメリカで起業時にお金を借りるという現実

アメリカの創業融資と必要書類

もう一点、私のいるアメリカの事情にも触れておきます。

アメリカで起業した直後は、過去の決算実績や返済実績がないため、既存の会社よりも金融機関にとって判断の材料が少なく、一般に融資のハードルは上がりやすくなります。

ただし、大手銀行からの通常の融資だけが選択肢というわけでもありません。

アメリカには、民間金融機関の融資の一部をSBA(米国中小企業庁)が保証する7(a)ローンや、創業・小規模事業向けのマイクロローンといった制度もあるとされています。

SBAの公式概要ページでは、マイクロローンは認定された非営利の仲介機関を通じて最大5万ドルまでとされ、平均融資額はおよそ1万3,000ドルと紹介されています。

利用できるかどうかは、事業計画、信用履歴、自己資金、担保、返済の見込みなどによって変わります。

2026年から変わったSBA融資の国籍・居住要件

そして、それ以前に必ず確認しておきたいのが、SBA融資の国籍・所有者要件です。

2026年6月確認時点のSBAの案内では、申請する事業の所有者全員が米国市民または米国国民であり、かつ米国内に主たる居住地を持つことが求められるとされています。

言い換えると、外国籍の人が一部でも所有している事業は、7(a)ローンや504ローンの対象外になるとされています。

これらの要件は2026年3月以降に順次変更されており、マイクロローンについても2026年4月ごろから国籍・居住に関する条件が見直されたとされています。

そのため、米国で事業をしている日本人であっても、在留資格や会社の所有構成によっては、そもそもSBA融資を利用できない可能性があります。

事業計画や信用力を確認する前に、まず自分と共同経営者が制度上の要件を満たしているかを、SBAや取扱金融機関の最新情報で確認しておきたいところです。

創業融資で求められる準備

創業直後は過去の決算書がないため、金融機関は将来の計画をもとに判断することになります。

そのため、事業計画、必要資金の内訳、売上や経費の予測、返済方法などの準備が重要になります。

SBAも、申し込みの前にこうした資料を用意するよう案内しています。

「いくら借りられるか」から考えるのではなく、「事業を始めるのに本当はいくら必要か」

「借りたら毎月いくら返すのか」「計画どおりに売れなかったときも返せるか」を先に計算しておきたいところです。

個人保証と高金利のリスク

注意したいのは、起業時の借入では「会社名義だから、会社が失敗しても個人には関係ない」とは限らない点です。

融資の条件によっては、経営者個人の保証を求められることがあります。

たとえばSBAの7(a)ローンや504ローンでは、原則として20%以上の持分を持つ個人オーナーに無制限の個人保証が求められるとされています。

またSBAのマイクロローンでも、仲介金融機関が担保や事業主の個人保証を求めるのが一般的とされています。

会社が返済できなくなったとき、経営者個人も責任を負う可能性があるということです。

また、銀行から借りにくいときに、審査の早いオンライン金融や民間のファイナンスは魅力的に見えるかもしれません。

ただ、早く資金を受け取れる代わりに、金利や手数料が高かったり、返済条件が厳しかったりする場合があります。

「借りられるか」だけで判断せず、最終的にいくら返すのか、返済は毎月なのか毎週なのか、売上が落ちたときも払えるのかまで確認しておくことが大切です。

金利の数字だけでなく、手数料を含めた実質的な年率(APR)や総返済額、返済の頻度まで比べて判断したいところです。

借入金の使い道を整理してみる

ここまでの考え方を、借入金の使い道ごとに整理すると次のようになります。

大切なのは、支出の種類だけで善悪を決めることではなく、借入と返済の原資がつながっているかどうかを見ることです。

使い道返済原資の見えやすさ主な注意点
売れる見込みのある在庫販売代金から返済しやすい売れ残り・値下げ・在庫期間
受注済み案件の材料費・人件費契約代金から返済しやすい入金時期・キャンセル・追加費用
売上を増やす設備増産・効率化による利益需要不足・故障・導入後の固定費
新規採用増える粗利益から返済採用や教育の費用・売上増加の不確実性
黒字化の時期や返済原資が不明な家賃・給与の補填返済原資が見えにくい赤字を先送りする可能性
高級車・腕時計・過度な内装原則として返済原資がない見栄や浪費になりやすい

借りる前に確認したい5つの質問

最後に、借入を検討するときに自分へ問いかけたい5つの質問をまとめておきます。

  1. 何に使うのか。金額と使い道を具体的に説明できますか。
  2. いつ売上に変わるのか。借入から入金までの期間が見えていますか。
  3. 何から返すのか。返済の原資となる売上や利益は具体的ですか。
  4. 計画どおりにいかないときどうするのか。売上が半分でも返済できますか。在庫を処分できますか。
  5. 個人としてどこまで責任を負うのか。個人保証や担保、総返済額を理解していますか。

まとめ

今日の話をまとめます。

起業時の借金の良し悪しは、借りること自体ではなく、何に使い、何から返すのかで決まります。

売上の見込みがないまま、給料や家賃などの固定費を借金で埋め続けると、赤字を先送りするだけになりかねません。

一方で、販売実績のある在庫や、確定した受注、利益を増やせる設備など、返済の原資が具体的に見えるものへの借入は、成長を早める選択肢になり得ます。

借りられる金額ではなく、返せる金額から考えること。

そして、借入金を売上や利益と勘違いしないこと。

これが、初めての起業では特に大切だと感じています。

もちろん、これは私個人の考えであり、違う意見もあると思います。

情報確認について

本記事は2026年6月確認時点で、米国中小企業庁(SBA)が一般に公開している情報などを参考にまとめています。

融資制度の内容、上限額や平均額、個人保証の条件などは変更される可能性があり、また個別の融資判断は事業内容や契約条件によって異なります。

特にSBA融資の国籍・居住地および会社所有者に関する要件は2026年に変更されているため、申請を検討する時点での最新条件を必ずご確認ください。

実際にご検討の際は、SBAや各金融機関の公式情報で最新の条件をご確認ください。

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