はじめに

お客様の課題が分かったとして、そこからどうやって商品を提案すればいいのでしょうか。
強くすすめすぎると押し売りになりそうで、どこまで踏み込んでよいのか迷います。

こんにちは、エコドライブの鈴木です。
前編に続いて前職創業者に学ぶ一流のセールスマンの極意というテーマでお話しします。
後編は、課題を把握したあとにどう提案するのか、そして最後にお客様から信頼していただくために何が必要なのか、というところです。
前編では、僕の前職である株式会社ガリバーインターナショナル(現・株式会社IDOM)の創業者、羽鳥兼市さんから教わった言葉を紹介しました。
一流のセールスは、お客様が欲しいものを売るのではなく、お客様のためになるものを売れという言葉です。
そのうえで、いきなり商品や価格の話をするのではなく、雑談の中からお客様の背景と課題を把握していくところまでをお話ししました。
後編ではその続きとして、つかんだ課題に対してどのように選択肢を提示していくのか、そして担当者としてどう信頼していただくのかを整理していきます。
前編をまだご覧になっていない方は、中古車営業のコツ|元ガリバー店長が学んだトップセールスのヒアリング術【前編】から読んでいただけると、話がつながりやすいと思います。

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「安いですよ」だけで売ろうとする営業の限界
「うちは他社よりも安いですよ」とか、そういう話ばかりになってしまうんですね。
本当に、その商品の良いところしか言わない。
悪いところはなるべく伏せて、とにかく良いところだけを並べて、安いですよ、安いですよと繰り返す。
そういうのが、やはり成績が伸び悩んでいる営業担当者によく見受けられますね。
一流の営業担当者は、課題を解決できる商品から考える

一方で一流の営業担当者は、とにかくお客様の課題を把握します。
そして、その課題を把握したうえで、自社が持っている商品の中で、一体どの商品であればその課題を解決できるのかというところを考えているんですね。
そのうえで、その商品の良いところと悪いところ、それをやはりしっかり伝えるということをしていますよね。
良いところだけでなく、注意点を伝えることも信頼につながる
一般に、高額な商品ほど、購入後に分かる注意点が不満につながりやすいため、良いところだけでなく、使う人によっては不便になり得る点も先に伝えることが大切です。
メリットだけを強調すると、購入前の期待と実際の使用感にずれが生まれ、後から不信感につながることがあります。
良いところと注意点の両方を理解したうえで選べる状態を作ることが、長い目で見た信頼につながります。
最初に挙がった車種が、答えとは限らない
例えば、お客様が「ホンダのアコードが欲しい」とおっしゃって来店されたとします。
成績が伸びにくい営業担当者は、そのアコードの話ばかりをしてしまいます。
けれども一流はですね、どうしてアコードが欲しいのかというところをしっかり考えて話をします。
そうすると、意外と、はっきりした理由が出てこないことが多いんですね。
お客様ご自身も、何を重視したいのかをまだ言葉にできていないケースが、意外と多いです。
あれこれと雑談の中で話していると、アコードが欲しい理由が、デザインを見ていてなんとなくかっこいいなと思ったから。
あとは、知り合いが「良い車だからいいよ」と言っていたから。
そういう、まだ整理されていない段階の理由だったということは、意外と多かったりするんですよね。
最初に挙げた商品は、検討の出発点である場合もある
一般に、お客様が最初に挙げる車種や商品名は、検討の入口ではあっても、最終的な答えとは限りません。
見た目の印象、知人からの評判、広告で見た情報などをもとに候補を決めている場合もあり、実際の使い方まで整理すると、別の条件が重要になることがあります。
最初の希望を尊重しながら理由を確認することで、本人もまだ気づいていなかった判断基準が見えやすくなります。
雑談から見えてくる、本当に必要だった条件
すると例えば、「今度、娘夫婦に赤ちゃんが生まれるんですね」といった話が出てきたりします。
そうすると、セダンだとチャイルドシートに子どもを乗せ降ろしするときに若干腰をかがめることになるので、ちょっときついですよね、という話になる。
それなら、もう少し車体が高い車のほうがいいかもしれませんね、と。
たまに赤ちゃんを連れて旅行にも行けるような車のほうがいいですよね、と。
そうすると、乗る人数や荷物の量によっては、2列のシートだと少し狭いですよね、と。
じゃあ3列目があったほうがいいな、と。
ただ、常に3列シートだと車としては大きくなってしまうので、旅行に出かけるときだけ3列目が出てくるような、補助的なシートのほうが良くないですか。
そんな話をしていくとですね、「あ、それはいいですね」という話になりがちなんです。
利用場面を具体的にすると、必要な条件が見えやすくなる
利用目的を確認する時は、「何人乗りますか」「どの車種が好きですか」といった条件だけでなく、実際の利用場面を思い浮かべてもらう聞き方が有効な場合があります。
例えば、誰と乗るのか、どのくらい荷物を積むのか、長距離移動は多いのかを確認すると、広さ、燃費、安全性などの優先順位を整理しやすくなります。
ただし、商品選びに関係のない私生活まで必要以上に聞くのではなく、答えやすく、提案に必要な範囲にとどめる配慮が必要です。
条件が整理できたら、あらためて車種を考える

こうして話していくと、3列目のシートが補助的に出てくるもので、なおかつ普段は燃費が良い、という条件が見えてきます。
例えば、こういう条件が見えてきたときに候補になるのが、プリウスαのような車です。
日本仕様のプリウスαには、燃費性能を持ちながら、補助的な3列目を備えた7人乗りモデルもあったんですね。
「もしかして、プリウスαのほうが良くないですか」とお伝えすると、「あ、そういう考えもありますよね」と、その気づきが生まれるんです。
※プリウスαは日本で販売されていた車種で、7人乗りの3列シートモデルもありました(2021年に販売終了)。北米で販売されたPrius vは5人乗りです。
一流の営業担当者は、まず選択肢を広げる
なので、やはり一流の営業担当者がやっていることって、まず選択肢を広げるということなんですね。
課題を伺ったうえで、その中から解決につながる選択肢を示す。
これが結構、大きなことかなと思うんですよね。
そして、いろいろな選択肢がある中で、お客様が元々デザインが好きで欲しかったアコードになるということであれば、それはそれでオッケーじゃないですか。
それはそれで、お客様はすごく感謝してくださると思いますよ。
大事なのは、こちらが結論を決めることではなくて、お客様が理由を理解して、納得して選べる状態を作ることなんですよね。
選択肢は、広げたあとに整理することも重要
選択肢を広げることは大切ですが、候補を増やしすぎると、かえって違いが分からなくなり、決めにくくなることもあります。
そのため、まず可能性を広げたうえで、予算、使い方、維持費など、お客様にとって重要な基準に沿って候補を整理することが必要です。
選択肢を広げてから、比較しやすい数まで絞ることで、納得できる判断につなげやすくなります。
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本音を聞くには、「自分は味方ですよ」と知ってもらう
そしてもう一つ、お客様の本音を知るのに、敵ではなくて自分は味方ですよということを、やはり知ってもらう必要があると思っています。
そのためには、やはり信用してもらう必要があります。
話し方だったり、文章力とか返信のスピードとかですね。
あとは身なり、時間を守るということ。
さらに、その知識力とか、親近感。
そういったものもやはり信頼につながるので、大事になってくるかなと思うんですね。
本音を話してもらうには、雰囲気づくりと行動の積み重ねが必要
お客様の本音を聞くには、質問の技術だけでなく、「断っても大丈夫」「分からないと言っても大丈夫」と感じられる雰囲気も必要です。
売り急ぐ姿勢を見せたり、希望と違う答えに否定的な反応をしたりすると、お客様は本当の不安や迷いを話しにくくなることがあります。
営業担当者を味方だと感じてもらうには、答えを誘導するのではなく、迷っている状態も含めて受け止める姿勢が重要です。
また、信頼は話し方や身なりのような第一印象だけで完成するものではなく、返信すると伝えた時間を守る、分からないことを曖昧に答えない、説明した内容と契約条件を一致させるなど、小さな行動の積み重ねによって作られます。
特に重要なのは、言っていることと、実際の行動が一貫していることです。
商品ではなく、自分を買ってもらう
結構やはり、成績が伸びにくい営業担当者だと、商品を売ろう売ろうというふうにどうしてもやってしまいます。
けれども一流の営業担当者は、商品ではなくて、その自分を買ってもらうということを常に考えているという感じがします。
特に前職の社長がよく言っていたことは、お客様はこの商品が良いかどうかよりも、このセールスマンが信用できるのかできないのかを最も考えているということでした。
自分も逆の立場になると、やはりそうかもしれないですね。
高額商品を買いに行ったとき、その商品の良し悪しというのは結構自分でも元々調べていて、ある程度理解している。
でも、このセールスマンが言っていることは本当に信用できるのかなというのは考えているかなと思うんですね。
「自分を買ってもらう」は、自己アピールを強くすることではない
「自分を買ってもらう」という言葉は、強い自己アピールで相手を説得したり、担当者自身を必要以上に目立たせたりするという意味ではありません。
商品知識、正直な説明、約束を守る姿勢、購入後も責任を持って対応する態度を通して、担当者として信頼してもらうという意味に近いものです。
商品以上に自分を売り込むのではなく、「この人の説明なら安心して判断できる」と思ってもらうことが大切です。
売れない時ほど、お客様の課題へ戻る

自分自身もですね、営業時代は浮き沈みがありました。
悪い時は商品を売ることばかり考えて、負のスパイラルに陥ることがよくあったんですよね。
そんな時はですね、社長の羽鳥さんが言っていた、お客様が欲しいものを売るのではなく、お客様のためになるものを売る。
この言葉を思い出してやっていくと、好転することがよくあったんですね。
行き詰まった時ほど、何を売るかではなくて、相手は何に困っているのかというところに戻る。それが、流れを立て直すきっかけになっていた気がします。
まとめ:商品を説明する人ではなく、信頼される人が選ばれる
後編では、課題を把握したあとの提案の仕方についてお話ししてきました。
良いところだけを並べて安さで押すのではなく、良い点も注意点も伝えたうえで、その方の課題を解決できる選択肢を出していく。
最初に挙がった車種が答えとは限らないので、なぜそれが欲しいのかを一緒に確認しながら、選択肢を広げて、比較しやすい形に整理していく。
そして最終的に決めるのはお客様で、比較した結果、元々希望していた車に戻るのであれば、それもまったく問題ありません。
そのうえで、お客様に本音を話していただくには、自分は敵ではなく味方だと感じてもらう必要があります。
話し方、返信のスピード、身なり、時間を守ること、知識、親近感。
こうした一つひとつは地味ですが、その積み重ねが信用になっていきます。
前職の社長が言っていた、お客様は商品が良いかどうかよりもセールスマンを信用できるかどうかを見ている、という言葉。
そして羽鳥さんから教わった、お客様が欲しいものを売るのではなく、お客様のためになるものを売れ、という言葉。
商品を説明する人ではなく、信頼される人が選ばれる。
僕自身、売れない時期にこの原点へ戻って、何度も助けられてきました。
今日の話が何かの参考になれば嬉しいです。
エコドライブの鈴木でした。
またお会いしましょう。
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