はじめに

同じ会社で同じような商品を扱っていても、営業担当者によって売れる数がまったく違うことがありますよね。
その差は、いったいどこから生まれるのでしょうか。

こんにちは、エコドライブの鈴木です。
今回は前職の創業者から教わった営業の極意というテーマでお話しします。
僕が以前勤めていたのは、現在の株式会社IDOMです。
入社当時の社名は、株式会社ガリバーインターナショナルでした。
そこで創業者の羽鳥兼市さんから、営業について大切なことを教わりました。
お話しする内容が長くなるので、前編と後編に分けてお届けします。
前編では、「一流の営業は、商品を提案する前に何を聞いているのか」というところを中心に整理していきます。
後編では、具体的な提案の仕方と、最終的にお客様から信頼してもらうために必要なことへ進む予定です。

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新卒で入社し、1年で店長になった

僕が新卒で入社したのは、株式会社ガリバーインターナショナルという会社です。
2016年7月に社名が変わり、現在は株式会社IDOMとなっています。
車の販売や買取を行っている上場企業で、全国にお店があるので、名前を聞いたことがある方も多いのではないかと思います。
僕はそこに、営業職として新卒で入社しました。
ちょうどその年は、人員体制が大きく動いていて、店長候補が足りない状況になっていたんですね。
そんなタイミングで、たまたま僕の営業成績が良かったこともあり、入社1年で店長に抜擢されました。
本当にラッキーパンチが続いたような形で、いきなりお店を任されることになりました。
成績は良かったのに、人を育てられなかった
ところが、ここで壁にぶつかります。
自分がなぜ営業成績が良かったのか、まったく分からない。
言語化できない。
その状態で店長になったため、人を育てることができなかったんですね。
売り方を聞かれても、自分がやっていることを説明できない。
だから、部下に同じことをやってもらうこともできない。
これは、今でも苦い経験として残っています。
自分で成果を出すことと、再現できる形で教えることは別
営業成績が良い人でも、なぜ成果が出たのかを本人が言葉にできるとは限りません。
経験の中で自然に身についた判断や会話の組み立て方は、無意識に行われていることも多く、そのままでは他の人が再現しにくいからです。
人を育てる立場では、結果だけでなく、どの場面で何を見て、なぜその質問や提案を選んだのかまで整理することが重要になります。
前職の創業者から教わった、一流のセールスの言葉
羽鳥さんは、いろいろなお店を回って現場を見てくださる方で、僕自身も直接お話しさせていただく機会がありました。
一言で言うと、めちゃくちゃパワフルな方です。
なんといっても、54歳でガリバーを設立し、その後、会社を上場企業へと成長させた方なんですね。
すごくないですか。
僕は当時、羽鳥さんがガリバーの創業より前に大きな借金を抱え、そこから事業を立て直したという話も聞いていました。
僕自身もずいぶん可愛がっていただきましたし、人生において本当に大きな影響を受けました。
今の自分の考え方の土台をつくってくださった方だと思っています。
その羽鳥さんから、セールスについてこんなことを教わりました。
一流のセールスは、お客様が欲しいものを売るのではなく、お客様のためになるものを売れ。
この言葉は今も自分の中に残っていて、営業や経営で迷った時の判断軸になっています。
「欲しいもの」と「ためになるもの」は同じとは限らない

確かに営業って、同じ会社で同じような商品を扱っていても、誰が担当するかで成績や数字に大きな開きが出ますよね。
お客様が口にした希望条件をそのまま案内するだけでは、担当者によってここまで差が出る理由を説明しきれません。
それでも人によって大きな開きが出るのは、なぜなのか。
そこに、この言葉のヒントがあるように思います。
最初に口にする条件が、目的そのものとは限らない
一般に、お客様が最初に口にする商品名や条件は、検討の出発点ではあっても、最終的な目的そのものとは限りません。
「この車が欲しい」という希望の奥に、通勤を楽にしたい、家族で安全に移動したい、維持費を抑えたいといった別の目的が隠れている場合があります。
そのため営業には、希望条件をそのまま受け取るだけでなく、その選択によって何を実現したいのかを確認する役割もあります。
「ためになる提案」は、希望を否定することではない
ここで注意したいのは、営業側が考える“正解”を一方的に押しつけないことです。
お客様の希望を否定して別の商品へ誘導するのではなく、希望の理由を確認し、メリットと注意点を整理したうえで、比較できる選択肢を増やすことが大切です。
最終的に決めるのはお客様であるという前提を守ることで、「ためになる提案」と「押し売り」を区別しやすくなります。
中古車では、希望条件がすべて揃う一台は見つかりにくい
お客様の希望通りの車って、そう簡単には見つからないんですよ。
もちろん、ある場合もあります。
ただ、ほとんどのケースでは見つかりません。
中古車なので少し特殊ではありますが、走行距離、年式、色、予算、仕様、オプション。
この辺りを「何が欲しいですか」と聞いて全部挙げてもらうと、それにすべて合う車は、そうそう見つからないんですね。
中古車は条件が増えるほど「完全一致」が難しくなる
中古車は、同じ車種であっても年式、走行距離、色、装備、整備履歴、車両状態などが一台ずつ異なります。
そのため、希望条件を細かく設定するほど候補は少なくなり、すべてを満たす一台がすぐに見つからない場合もあります。
こうした商品では、条件をただ並べるだけでなく、絶対に譲れない条件と、調整できる条件を分けることが、現実的な提案につながります。
「探しておきます」で終わってしまう営業の問題
そこで、成果につながりにくい進め方の一つが、その条件に完全に合う一台を、見通しを示さないまま探し続けてしまうことです。
「探しておきます」と言ったまま、そのままずるずると時間が流れていく。
お客様からすると、待てど暮らせど連絡がない、という状態になります。
そして最後には、「全然見つからないじゃないか」とクレームになってしまうこともあるんですね。
「探しておきます」で終わらせず、見通しを共有することも大切
希望に近い商品がすぐに見つからない場合、探し続けること自体が悪いわけではありません。
ただし、見つかる可能性や連絡の時期が曖昧なままだと、お客様はいつまで待てばよいのか判断できず、期待とのずれが不満につながることがあります。
探す条件、代替候補、次回連絡の目安を共有しておくことで、見つからない期間も状況を理解してもらいやすくなります。
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なぜその車が欲しいのかを深掘りする

では、実際にお客様のためになるものを売るには、どうすればよいのでしょうか。
お客様のためになるものは、当然ながら一人ひとり違います。
人によって状況が違うので、その人にとって本当に良い選択肢も変わってきます。
ということは、その方が車で実現したいことや、まだ言葉になっていない困りごとを、一緒に整理することが出発点になります。
そもそも、なぜ車の乗り換えをしようと思ったのか。
例えば、お客様が「ホンダのアコードが欲しい」とおっしゃったとします。
そのとき、そもそもなぜアコードが欲しいと思ったのかというところを、しっかり深掘りしていくことが大事なのかなと思います。
希望条件は「目的」と「優先順位」に分けると整理しやすい
お客様の希望を深掘りする時は、質問を増やすだけでなく、条件同士の優先順位を整理することも重要です。
例えば、予算、安全性、燃費、乗車人数、荷物量、デザインなどの中で、何が必須で何が希望なのかを分けると、選択肢を広げやすくなります。
条件を削るためではなく、本人にとって本当に大切な基準を明確にすることが目的です。
トップセールスは、いきなり商品や価格の話をしない
22歳の頃だったと思います。
それから今日まで、50名ほどの営業担当者を見てきました。
当時の記憶では、社内に3,000人ほどの営業がいました。
その中で、社内でも上位の成績を残したメンバーも、数名ですが出てきています。
そうしたトップ10に入るようなトップセールスを見ていると、いきなり商品の話をしていないんですね。
全然、車の話をしていない。
特に金額の話は本当にしません。
もう、最後の最後という感じです。
雑談を通して、本当の課題を把握する

では何をしているかというと、雑談がうまいんですね。
その雑談の中で、どうしてその車を買おうと思ったのか、どういう背景があるのかを把握して、うまく聞いていく。
なんなら普段の乗車人数や、誰とどんな場面で使うことが多いのかといったところまで、自然な会話の中で聞いていきます。
いきなり質問ばかりしてしまうと、本当に尋問みたいでちょっと怖いですよね。
そういう営業担当者も、たまにいるんですけれど。
だから尋問にならないように、うまく雑談を混ぜながら、楽しい話をしながら聞いて、把握していく。
トップセールスは、そういうことをやっているように感じます。
やはり商品の販売よりも、課題の解決を前提に考えているんですね。
お客様としては車を買うための相談に来ているのですが、実際には人生相談に近いのかもしれません。
おそらく、家の販売などにも近いのだと思います。
高額商品なので、そう簡単にポンポンと買っていただけるものではありません。
だからこそ、人生相談のような形になっていくことがよくあります。
雑談の目的は、話を盛り上げることだけではない
営業での雑談は、単に場を和ませるためだけのものではありません。
自然な会話の中で、利用目的や困りごと、日常の使い方などを理解し、お客様自身もまだ整理できていない判断基準を一緒に見つける役割があります。
ただし、必要以上に私生活へ踏み込むと負担を与えるため、商品選びに必要な範囲で、答えやすい聞き方をすることが大切です。
質問の量より「聞いた内容を提案に反映できるか」が重要
質問を多くすれば、必ず良い提案になるわけではありません。
聞いた内容が提案に反映されなければ、お客様には質問だけが続くように感じられ、尋問のような印象を与えることもあります。
大切なのは、回答を受け止め、要点を確認し、「それならこの条件が重要ですね」と会話をつなぐことです。
質問・傾聴・提案を一つの流れにすることで、対話として成立しやすくなります。
まとめ:一流の営業は、売る前にお客様を理解している
前職の創業者から教わった「お客様が欲しいものを売るのではなく、お客様のためになるものを売れ」という言葉。
これは、お客様の希望を否定することではありません。
最初に出てきた条件をそのまま追いかけるのではなく、その条件の背景にある目的や困りごとを理解するということだと思っています。
中古車のように条件が一台ずつ違う商品では、希望をすべて満たす一台が見つからないことは珍しくありません。
だからこそ、なぜその車が欲しいのかを聞き、何が必須で何が調整できるのかを一緒に整理していく。
トップセールスがいきなり商品や価格の話をせず、雑談から入っているのも、そこに理由があるのだと思います。
お客様の背景や課題を理解できたら、次に必要なのは、それを具体的な選択肢へ落とし込むことです。
ただ別の車を勧めるだけでは、お客様には「売りたい車へ誘導された」と受け取られてしまいます。
後編では、聞き取った条件をもとに選択肢を広げる方法と、最終的にお客様から信頼してもらうために必要なことをお話しします。
営業の提案力を高めるには?元ガリバー店長が学んだセールスの極意【後編】
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