こんにちは、エコドライブの鈴木です。
今回は「日系企業がアメリカ進出で直面する課題」についてさらに掘り下げていきます。
特に注目したいのが、日米間の文化の違いが雇用面にもたらす影響です。
アメリカでの人材確保や評価方法などにおいて、日系企業が直面しやすい課題とその対策についても、お話ししていきます。
前回は1~3までの課題について話したよね!
今回は残りの2つを話す感じかな?
そうだね。
まずは「巨人企業との差」についての話と、その次に「採用と雇用」に関わる話をする予定だよ!
【動画版】
4: 巨人企業と自分たちの差を冷静に見られない
4つ目の理由として、巨人企業と自分たちの差を冷静に見られないという点が挙げられます。
これは私自身も経験した失敗談の一つです。
競合の巨人企業と自社の差を冷静に検証することは非常に重要です。
なぜあの会社にあれだけ多くの顧客が集まるのか、アメリカ人にとってどこが魅力的に映っているのかを、しっかりと冷静に分析する必要があります。
具体的には、自社がどこで負けていて、どこで勝っているのか、負けている部分をどのように補うのか、勝っている部分をどのように伸ばすのかを考えなければなりません。
また、競合にはなくて自社にあるもの、競合にあって自社にないものを明確にすることも大切です。
私たちが犯した失敗は、巨大企業に対して目をつぶってしまい、むしろ自分たちが勝負しやすい小さな競合に注目してしまったことです。
しかし、そのような戦略では新しい企業がどんどん現れてくる中で、無限ループのようにコストがかかってしまいます。
大きな相手と差別化するために、自社の強みと弱みを理解する
確かに、小さな競合への対策も重要ですが、それ以上に自分たちよりもはるかに大きな相手をどのように攻略するか、ここを冷静に考えて戦略を練る必要があります。
アメリカ市場で成功するためには、現実を直視し、自社の強みと弱みを正確に把握することが不可欠です。
そして、その分析に基づいて、巨人企業との差別化戦略を立てることが重要です。
自社の独自性を見出し、それを最大限に活かすことで、大手企業との競争においても勝機を見出すことができるのです。
5: やる気やモチベーションを織り込んでしまう
5つ目の理由として「やる気やモチベーションを織り込んでしまう」という点が挙げられます。
これは日系企業からよく聞く話で、私も実際に経験したことがあります。
日本企業では「やる気のある社員がいない」「モチベーションの高い社員がいない」という話をよく耳にします。
日本の企業文化では、やる気のある社員が特に評価される傾向があると思います。
ここでいう「やる気のある社員」とは、言わば「エクストラで仕事をしてくれる人」を指すことが多いです。
逆に言えば、エクストラで仕事をしない人は「普通の評価」に留まるということになります。
仕事内容が明確化されていなかった日本での勤務時代
私自身、2004年にアメリカに来る前の2年間、日本の会社で働いていました。
その経験を振り返ると、確かにこういった傾向が強かったように思います。
特に印象的だったのは、自分の仕事内容があまり明確化されていなかったことです。
とにかく遅くまで働いて、色々な人のサポートをし、自分で仕事を見つけて働くということが評価される雰囲気がありました。
単純に比較するのは難しいかもしれませんが、こういった点はアメリカの企業文化とは大きく異なる部分になると思います。
この「やる気」や「モチベーション」に対する考え方の違いは、日本企業がアメリカで苦戦する大きな要因の一つだと考えています。
個人の役割と責任が明確化されているアメリカ
アメリカの企業文化では、個人の役割や責任が明確に定義されていることが多いです。
そしてその範囲内で高いパフォーマンスを発揮することが求められます。
「エクストラ」な仕事を期待するのではなく、定められた役割の中で効率的に成果を出すことが重視されるのです。
日本企業がアメリカで成功するためには、この文化の違いを理解し、アメリカの労働環境に適応した評価システムや仕事の進め方を採用する必要があります。
やる気やモチベーションは大切ですが、それを前提としたり、暗黙の了解として期待するのではなく、明確な目標設定と公平な評価システムを構築することが重要です。
このような文化の違いを認識し、適切に対応することで、日本企業もアメリカ市場で十分に競争力を持つことができるはずです。
アメリカ人の仕事に対する”姿勢”について
アメリカでビジネスを展開する上で、押さえておくべき重要なポイントがあります。
それは、アメリカ人の仕事に対する”姿勢”です。
アメリカ人は基本的に、決められたことを淡々と遂行します。
そして、アメリカの企業もそれで十分だと考えています。
日本と違って、エクストラな仕事を求めることはあまりありません。
むしろ、アメリカでは決められたことをしっかりと行う人が高く評価される社会なのです。
職務内容は明確化しよう
このため、職務内容を明確にしておくことが非常に重要です。
アメリカでは、職務内容に対して具体的な給与を設定して募集するのが一般的です。
しかし、これができない日本企業が意外と多く、そのような企業は雇用面で大きな苦労をすることになります。
職務内容が明確でないと、そもそも従業員を適切に評価することができません。
評価できないということは、従業員が評価されないということです。
評価されない従業員は、仕事に面白みを感じられず、頑張っても報われないと感じて辞めていってしまいます。
結果として、苦労している会社は往々にして従業員の定着率が低くなります。
こうなると悪循環を生み出し、会社の成長を妨げる大きな要因となるのです。
アメリカで優秀な人材を確保するために
アメリカでの成功を目指すなら、この文化の違いを理解し、適切に対応することが不可欠です。
職務内容を明確にし、それに基づいた公平な評価システムを構築することが、優秀な人材の確保と定着につながるのです。
そういった観点から、リーダー以外の従業員に関しては、できる限り属人的な要素を排除することが重要だと考えています。
「この人でないとできない」という状況は極力避け、仕組みで勝てるビジネス設計をする必要があります。
決められたことを淡々とこなせるような職務内容を用意する
確かに、アメリカにもエクストラで仕事をする人はいますが、そういった人材はコストが高く、代替が効きにくいのが現実です。
その人が辞めてしまったら大変な事態になりかねません。同じような人材を探すのは本当に困難で、結局は元も子もなくなってしまいます。
したがって、リーダーと呼ばれる人々には一定の属人的要素が必要かもしれませんが、できる限り属人的な要素を排除し、決められたことを淡々とこなせるような職務内容にすることが重要だと考えます。
これから、アメリカ進出を考えている企業や、現在アメリカで奮闘しているリーダーの方々にとって、この話が少しでも参考になれば嬉しいです。
アメリカでのビジネス展開には多くの課題がありますが、こうした文化の違いを理解し、適切に対応することで、成功への道が開けるはずです。
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