はじめに

車を買ったあと、家族や友人に「その車、いくらだったの?」と聞かれることってありますよね。
販売の仕事をしていると、お客様が納得して契約してくれたのに、なぜかすっきりしない、ということもあります。

物を売る時、私たちはどうしても「目の前のお客様が満足してくれるかどうか」だけを見てしまいがちです。
でも、本当にそれだけでいいのでしょうか。
今回は、エコドライブの鈴木が常々考えている「物を売る時は、顧客の周りにいる人を想像せよ」というテーマについてお話しします。
中古車の販売やリースという仕事を通じて感じてきたことですが、扱う商品が何であっても本質は同じではないかと思っています。

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「お客様が良ければそれで良し」ではない、と思う理由
販売の現場では、契約が決まった瞬間がゴールのように扱われがちです。
でも私は、その商品はお客様が良ければそれで良し、ではないと思っています。
買ってくれて、その周りの友達や家族が「良い買い物したね」と言ってくれること。
そこまで届いて、ようやくゴールだと思っているんです。
これは多分、私たちが中古車を販売したりリースしたりしているから、なおさらそう思うのかもしれません。
同じ車種・同じ年式でも、走行距離や使われ方、整備の履歴は一台ごとに違いますし、価格の付け方にも幅があります。
だからこそ、売り手がどこまで考えたかが、そのまま商品に出てしまいます。
周りの目を想像することは、本人の意思を軽視することではない
購入を最終的に決めるのは、あくまでもお客様本人です。
家族や友人の評価を営業側が勝手に優先したり、周囲に褒められそうな商品を押しつけたりするという意味ではありません。
ここで重要なのは、購入後に商品を使い始めた時も、お客様自身がその選択を説明でき、納得し続けられる状態を目指すことです。
本人の希望を尊重したうえで、購入後に起こり得る反応や影響まで考えて提案することが、この考え方の本質です。
中古車は、短期的に売ろうと思えばいくらでも売れてしまう
やることは一つで、パッと見の値段を安くすればいいだけなんですね。
今はお客様がインターネットで相場を自分で調べられます。
そこに安い価格が並んでいれば、問い合わせはけっこういただけるんです。
だから、売ることだけを考えるなら、表示価格を下げるのが一番手っ取り早いやり方になります。
ここが販売という仕事の怖いところだと思っています。
手っ取り早い方法ほど、その場では結果が出てしまうんです。
数字だけを見ていると、それが正しいやり方に見えてきます。
だからこそ、意識して立ち止まらないと、そちらに流れてしまいやすいのだと思います。
この話は、ショート動画「満足が続く営業 1回目 満足が続く車の売り方と考え方」でも取り上げています。
短くまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。
安くしようと思えば、何でもできてしまう

では、安くするために具体的にどうするか。
手段はいくつもあります。
例えば、お客様の予算に合わせて傷だらけの車を安く売ってしまう。
修復歴のある車を安く売ってしまう。
あるいは、お届けする前の納車前整備をケチって、コストをかけなければその分安く済むわけです。
それで売値を安くする。
厄介なのは、こうやって削ったものの多くが、契約の時点では見えにくいことです。
値段は数字ですから一目で分かりますし、外観の傷も目で確かめられます。
けれど、点検にどこまで手を入れたか、保証がどこまで効くのか、その傷を直すといくらかかるのかは、乗り始めてから分かることも少なくありません。
つまり、安くしようと思えば何でもできてしまうわけです。
しかもその代償は、後になってお客様の側に出てくることがあります。
でも、それでいいのかということなんです。
本人が良ければそれでいい、というのはやっぱりちょっと違うんじゃないかなと思っています。
価格を下げる時は、何を省いたのかを明確にする
価格が安いこと自体が、悪いわけではありません。
商品の状態や制約を理解したうえで、用途と予算に合っているなら、安価な一台がその人にとって最も合理的な選択になることもあります。
販売価格を下げる方法には、仕入れ価格を抑える、整備範囲を限定する、保証を付けない、外観上の傷を現状のままにするなど、さまざまなものがあります。
そのすべてが直ちに悪いわけではありません。
問題になるのは、なぜ安いのかが十分に説明されないまま購入され、購入後の修理費や不満につながるケースです。
価格を下げる場合ほど、状態、整備内容、保証範囲、今後予想される費用を分かりやすく伝えることが重要になります。
安く見せることではなく、価格と条件の関係を透明にすることが、販売側に求められます。
ドアが大きくへこんだ車を売ろうとしたスタッフを注意した話

過去に、うちのスタッフが、ドアの大きくへこんだ車をそのままお客様にお売りしようとしたことがあって、その時は叱りました。
そのスタッフに聞くと「お客さんがそれでいいって言うから」と言うんですね。
要はお客様の予算があまりなくて、傷だらけでも何でもいいから安く売ってくれ、という話だったということなんですけれども。
ちょっとやっぱり、それは違うと思うんです。
いくらお客様がいいと言ったって、周囲の方が同じように受け止めてくれるとは限りません。
ご家族から状態や安全性について疑問を持たれたり、「そんな車を売られたのか」と心配されたりすることもあるわけです。
そのまま安さだけを理由にお届けしてしまえば、その後を受け止めることになるのはお客様本人です。
販売する側は契約が終われば次の商談へ進んでいきますが、その車はその後も毎日お客様の生活の中にあります。
予算内に収まったという事実だけでは、そこまでは支えきれないように思います。
了承をもらうことと、判断材料をそろえることは別
「お客様が了承したから」は、説明を尽くしたことの証明にはなりません。
販売側には、見た目だけでなく、安全性、修理の必要性、将来の売却価値、日常使用への影響などを整理して伝え、ほかの選択肢と比べてもらう役割があります。
説明を受けたうえで選ぶことと、十分な情報がないまま「安いから大丈夫」と判断することは、同じではありません。
営業が代わりに結論を決めるのではなく、判断に必要な材料をそろえることが重要です。
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買った車は、必ず周りの目に触れます
私たちが扱っているものがたまたま中古車だからということで、新品とは少し違うかもしれません。
ただ、本質的には同じなんじゃないかなと思うんです。
やっぱり買った人は嬉しいでしょうし、気分も上がっていますよね。
だから買った後に周りに言うじゃないですか。
「車を新しくしたんだ」とか。
そうすると周りも、その人が乗っている車が違えば聞きますよね。
普通に「車買ったの?」って。
そんな時にその車を見て「こんなの買ったの?」と言われたら、本人はどう感じるでしょうか。
自分で決めたことではあっても、言われてみればそうかもしれない、と気持ちが傾いてしまうと思うんです。
今回の買い物は失敗だったかな、と思えてきてしまいます。
私が気になるのは、その瞬間まで本人は満足していたということです。
満足は購入した日に確定するものではなくて、その後の毎日の中で積み上がったり、削られたりしていきます。
けれど売り手が立ち会えるのは、そのうちの最初の一日だけなんですね。
購入の影響を受ける人は、本人だけとは限りません
車のような商品は、購入者だけでなく、同乗する家族、運転を共有する人、家計をともにする人などにも影響する場合があります。
例えば、乗り降りのしやすさ、座席数、安全性、保険料、修理費などは、本人以外の生活にも関係します。
そのため高額商品では、周囲の好みを優先するのではなく、実際に誰が使い、誰の生活や家計に影響するのかまで考えることが、長期的な満足につながります。
ただし、商品選びに必要のない私生活まで尋ねるのではなく、提案に必要な範囲で確認する配慮も必要です。
「良い買い物したね」と言われた時、喜びは倍になります

ここまで悪い方の話ばかりしてきましたが、当然その逆もあります。
周りから「良い買い物したね」と言われれば、喜びは倍増しませんか。
私だったら、やっぱり周りが「すごく良い買い物したね」と言ってくれたら嬉しいです。
多少それが予算オーバーだったとしても、それが本当に良いものだったら周りがフォローしてくれると思うんですよね。
「確かに予算オーバーだったかもしれないけど、これだったら買って良かったね」と言ってくれると思うんです。
面白いのは、この時に評価されているのが値段ではないということです。
周りの人が、その車の仕入れ値まで知っているわけではありません。
それでも良し悪しが伝わるのは、状態や使い勝手といった、実物から分かる部分を見ているからだと思います。
逆に言えば、そこは価格表では隠せない部分でもあります。
「良い商品だから」を理由に、無理な予算を勧めない
良い商品であっても、お客様が無理なく支払える範囲を超えてしまえば、購入後の負担につながる可能性があります。
そのため、より状態の良い商品を提案する場合も、販売価格だけでなく、ローン、保険、燃料、整備、修理などを含めた負担を考える必要があります。
安価な車でも購入後の修理費が大きければ、結果的に負担が増える場合があります。
一方で、高価な商品なら必ず良い買い物になるわけでもありません。
予算と将来の維持費を含め、無理なく所有できる範囲で最適な選択肢を考えることが大切です。
「良い買い物」を届けるために確認したい5つのこと
- 利用目的に合っているか
通勤、家族利用、仕事、長距離移動など、実際の使い方に適しているか - 状態や注意点を理解しているか
傷、修復歴、整備内容、保証範囲などが明確になっているか - 無理なく所有できるか
購入価格だけでなく、保険、燃料、整備、修理費まで含めて負担できるか - 一緒に使う人にも適しているか
家族や共同利用者にとって、安全面、乗り降りのしやすさ、座席数、広さが用途に合っているか - 購入後にも本人が納得できる理由があるか
安かったからだけではなく、用途や状態、予算を踏まえて、この一台を選んだ根拠があるか
本当に良い営業とは、商品を売り切ることではなく、お客様が購入後も納得できる選択を支えることです。
まとめ
結論としては、物を売る時というのは、その顧客の周りにいる人を想像すること。
そして「良い買い物したね」と、お客様の周りの人が言ってくれるような商品を届けることをゴールにしましょう、というお話でした。
もちろん、周囲に褒められることそのものが目的ではありません。
周りの人の目を想像するというのは、その商品が本当にその人の生活に合っているかを、売り手が最後まで考え抜いたかを確かめるための物差しだと思っています。
目の前のお客様が「これでいい」と言ってくれた時こそ、その先にいる人たちの顔を思い浮かべてみる。
私たちはそういう販売を続けていきたいと思っています。
エコドライブの鈴木でした。
またお会いしましょう。
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