はじめに

営業をされる側になったとき、「この人はしつこいな」と感じる相手と、「この人は熱心だな」と感じる相手がいます。
同じように何度も連絡をしてきているのに、受け取る印象はまったく違います。
この差は、いったいどこから来るのでしょうか。

前編では、僕がアメリカで実際に受けた電話営業の話をしました。
ある会社から小切手が届いたことをきっかけに、しつこかった営業電話のことを振り返りました。
あの電話は、どう考えても熱心ではなく、しつこいものでした。

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では、しつこいと熱心の違いとは、いったい何なのでしょうか。
今回の後編では、その違いを分ける視点と、しつこいと思われないために何をすればいいのかを、僕の考えとしてお話ししていきます。
営業をする立場の方にも、営業を受ける立場の方にも、意外と役に立つ話だと思います。
前編をまだご覧になっていない方は、しつこい営業電話の共通点|アメリカで受けた実話と嫌われる営業の4つの特徴【前編】から読んでいただけると、話がつながりやすいと思います。
「熱心」と「しつこい」を分けるのは、ベクトルの向き
これは僕の考えなのですが、その違いはベクトルがどちらを向いているかにあります。
行動の量ではありません。
連絡の回数でもありません。
その行動が、誰のために起きているのか。
そこが、しつこいと熱心を分けるところだと思っています。
ショート動画「それは熱心?しつこい?営業の違い」でも、この違いを短くまとめています。
この記事の中心になる考え方なので、まずはここを押さえてください。
しつこい営業は、ベクトルが自分に向いている

しつこいというのは、ベクトルが自分に向いてしまっている状態です。
僕の中では、向いている先は次の3つです。
- 自分の売上のため
- 自分の契約数のため
- 自分の成績のため
この3つが判断の中心にある限り、相手が誰であるかは問題になりません。
とにかく売れればいい、という発想に近づいていきます。
そうなると、相手が今どういう状況なのか、そもそも必要としているのかどうかは、判断の材料から外れてしまいます。
残るのは「売れたかどうか」だけです。
前編で紹介した電話営業も、この状態に当てはまります。
熱心さは、連絡回数や作業量だけでは判断できない
営業担当者が多くの時間を使ったり、何度も連絡したりしたからといって、それだけで熱心な営業になるわけではありません。
相手が必要としていない情報を繰り返し送り、明確に断られた後も接触を続ければ、営業側に努力の自覚があっても、顧客にとっては負担になることがあります。
熱心さは、行動量ではなく、その行動が顧客の目的に役立っているかどうかで判断されます。
熱心な営業は、ベクトルが相手に向いている

では逆に、熱心とは何なのか。
熱心というのは、ベクトルが相手に向くことです。
僕の言い方だと、多少自分が犠牲になったとしても、相手の目的達成のために頑張るという行為です。
ここで言う犠牲とは、長時間働くことや、無理をして体力を削ることではありません。
自分の売上を最優先にせず、相手の目的が達成されるかどうかを判断の基準に置く、という意味です。
顧客本位は、営業側が代わりに結論を決めることではない
顧客の利益を考えることは、営業側が「あなたにはこれが正しい」と一方的に決めることではありません。
希望、予算、利用目的、時期、心配している点を確認し、選択肢ごとのメリットと注意点を説明したうえで、最終判断は本人に委ねる必要があります。
相手のためを考えることと、相手の意思を置き去りにすることは別です。
顧客本位の提案では、営業側が結論を押しつけるのではなく、本人が納得して判断できる状態を作ります。
熱心だと感じた営業マンに共通していた動き
そういう方は、やはり動きが違います。
まず、こちらのことをすごく調べてくれます。
そのうえで、本当に的を射た提案をしてくれます。
返信のスピードもむちゃくちゃ早く、とにかくまめです。
休みの日に連絡をくれることもあり、それが良いかどうかは別として、熱心だなと感じていました。
そういう対応をされると、どうせお金を払うなら、この人に払ってあげたいなと思うものです。
ショート動画「熱心だと感じた営業マンの特徴とは?」でも、このあたりを話しています。
的を射た提案は、情報をたくさん出すことではない
情報や選択肢を多く提示すれば、必ず良い提案になるわけではありません。
顧客の目的と関係のない情報まで大量に伝えると、違いが分かりにくくなり、かえって判断の負担を増やすことがあります。
重要なのは、調べた情報の中から、相手の条件や優先順位に関係するものを選び、「なぜこの提案が合うのか」を説明することです。
提案の質は、情報の量ではなく、顧客との関連性で決まります。
返信が速いことと、常に対応し続けることは別
返信の速さは安心感につながりますが、熱心な営業になるために、休日や深夜まで常に対応する必要があるわけではありません。
すぐに回答できない場合でも、受信したこと、確認に必要な時間、次に連絡する予定を伝えれば、相手は状況を把握できます。
熱心さを、担当者の無制限な自己犠牲と同一視しないことが重要です。
顧客と担当者の双方にとって無理のない連絡方法と対応時間を決めることが、安定した関係につながります。
しつこいではなく熱心になるための、2つのこと
ありきたりなのですが、僕の答えは2つです。
まずは相手に関心を持つこと。
そして相手の問題点を見つけて、解決に導いてあげることです。
ショート動画「熱心な良い営業マンが行っていることとは?」でも、この2つを話しています。
「相手に関心を持つ」は、私生活を詳しく聞き出すことではない
営業で相手に関心を持つとは、購入目的、現在困っていること、予算、希望時期、使用頻度など、提案に必要な情報を理解しようとすることです。
商品選びと関係のない私生活まで尋ねたり、答えにくい質問を続けたりすることではありません。
何を聞くかだけでなく、なぜその情報が必要なのかを説明し、答えない選択肢も残すことが大切です。
相手への関心は、情報収集の量ではなく、話された内容を提案へ正しく反映できるかに表れます。
問題を見つけることと、問題があるように思わせることは違う
営業が確認すべきなのは、顧客が実際に感じている不便や、目的達成を妨げている条件です。
契約へ進めるために、必要以上に不安を強調したり、本人が問題だと感じていない点を深刻な問題のように見せたりすると、恐怖や焦りを利用した営業になりかねません。
問題の有無は営業側だけで決めず、現在どのような不便があり、改善する必要性や緊急性がどの程度あるのかを本人と確認します。
顧客課題は、営業が作り出すものではなく、対話を通して一緒に確認するものです。
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相手に問題がないなら、それ以上売らない

逆に、相手に問題点がないのであれば、それ以上営業しない方がいいと僕は思っています。
僕らエコドライブにも毎日のようにお客様に来ていただいていますが、「いや、乗り換えない方がいいんじゃないですか」とお伝えすることだってあります。
その方がお客様にメリットがあるからです。
「今は買わない」という選択肢も、提案の一つ
相談を受けたからといって、必ず商品購入を結論にする必要はありません。
現在の商品に大きな不満がなく、買い替えによる効果も小さい場合は、購入を見送る方が合理的なことがあります。
その場合も、ただ会話を終えるのではなく、どのような変化が起きたら再検討すべきか、今後確認しておきたい点は何かを説明できます。
購入しない判断まで含めて比較できることが、顧客本位の提案です。
エコカーに乗り換えない方がいいこともある
ただ、お話を聞いてみて、普段ほとんど車に乗らない方だった場合はどうでしょうか。
エコカーにしたところで、その恩恵はあまり得られません。
特段いま乗っている車に不満がないのであれば、わざわざ今すぐ乗り換える必要もありません、ということになります。
ショート動画「お客様の状況に合わせて適切な提案を」でも、このケースを取り上げています。
燃費の良さだけで、買い替えのメリットは決まらない
エコカーへの買い替えを検討する時は、燃料代の節約だけでなく、購入価格、ローン金利、保険料、税金、整備費、将来の売却価値なども含めて考える必要があります。
走行距離が少ない場合は、燃料代の差が小さく、買い替え費用を回収するまでに長い時間がかかることもあります。
一方で、安全性、故障リスク、使いやすさなど、金額だけでは測れない理由で買い替えに意味がある場合もあります。
車両価格だけでなく、使用期間全体の費用と目的を比較することが大切です。
「今は乗り換えない」という提案もある

また、たとえば車両価格も金利も高い時期だったらどうでしょうか。
そういう状況であれば、「今は乗り換えないで、数年後にしましょう」と、こちらから逆に提案してしまうこともあります。
売る側から「今は買わなくていい」と言われると驚かれるかもしれません。
ですが、ベクトルが相手に向いていれば、こういう結論になることもあります。
補足:売らない提案は、顧客を放置することではない
現時点で購入を勧めない場合でも、その後の相談関係まで終わらせる必要はありません。
現在の車で注意する点、次に検討する目安、状況が変わった時の相談先などを伝えておけば、顧客は必要になった時に再び相談できます。
ただし、「将来必ず戻ってくる」という見返りを期待して売らない提案をするのではなく、まず現在の判断として何が適切かを伝えることが重要です。
今は売らないという判断と、長く相談できる関係を残すことは両立できます。
フォローを続けるときに確認しておきたいこと
売らない判断をした後も、連絡そのものが終わるわけではありません。
ただ、その続け方には気をつけたいところがあります。
フォローを続ける場合も、連絡方法と頻度を確認する
顧客のために役立つ情報を届ける場合でも、相手がその連絡を望んでいるとは限りません。
電話、メール、メッセージのうち、どの方法がよいか、どの程度の頻度なら負担にならないかを確認しておくと、受け取られ方は大きく変わります。
明確に連絡停止を求められた場合は、その意思を尊重する必要があります。
熱心なフォローとは、追い続けることではなく、相手の許可の範囲で必要な情報を届けることです。
まとめ
しつこい人というのは、自分よがりで相手のことを考えていない人です。
逆に熱心な人というのは、他者貢献、あるいは利他の心という言い方をしますが、相手のメリットを一番に考えられる人です。
ショート動画「しつこい営業と熱心な営業はここが違う!」でも、この結論を短くまとめています。
熱心さは、何回連絡したか、どれだけ長く働いたかで決まるものではありません。
その行動が、顧客の目的達成に必要だったかどうかで判断されます。
僕自身も普段できていないことが多々あります。
「しつこい」と思われないようにしよう、という自戒も込めて、今回は話をしてみました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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