はじめに
皆さんは「失敗」に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
できれば避けたい、思い出したくない、そんなふうに感じる方が多いかもしれません。
この記事はアメリカで車の販売を行うエコドライブが、コロナ禍に在庫を70台も抱え、そこから生き延びるために打った「車の貸し出し」という施策についてお話しした内容をまとめたものです。
合理的に見えたはずの一手が、なぜ最悪の誤算につながっていったのか。
その入り口までを実体験を元に細かくお届けしていきます。

失敗って、やっぱり避けたいものですよね。
しんどいですし、なるべくなら経験したくないと思ってしまいます。

そうですよね。
でも僕は、失敗は行動を起こした結果でしかないと思っているんです。
むしろ何もしないことのほうが、よっぽど大きな失敗だと考えています。
今日はそんな話から、エコドライブが経験した痛い失敗まで、共有していきますね。

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失敗は「悪いこと」なのでしょうか
やっぱりしんどいですよね。
悔しいですし、何かにすがりたい気持ちにもなります。
それは僕も同じです。
失敗したその瞬間というのは、正直に言ってきついものです。
でも、失敗するということは、行動を起こした結果なんですよね。
だとすれば、何もしなかったという失敗に比べれば、はるかにいいことだと思うんです。
何もしないというのは、やっぱり一番の失敗というか、機会損失だと僕は思っています。
失敗の共有には意味がある
ビジネスでは、成功事例だけでなく、うまくいかなかった事例にも大きな学びがあると言われます。
なぜなら、失敗には判断の前提・見落としやすいリスク・想定外の落とし穴が含まれていることが多いからです。
特に環境変化が大きい局面では、結果だけでなく「なぜその判断をしたのか」まで整理して見ることで、次の意思決定に活かしやすくなります。
そして僕たちエコドライブも、これまで本当にたくさんの失敗をしてきました。
その中でも結構痛い失敗があるので、今日はそれを皆さんと共有し共に学んでいけると良いなと考えています。
コロナ禍で在庫を70台抱えてしまった
その時は、確か70台くらいあったと思います。
それでも、僕たちも食べていかないといけませんからね。
二束三文で売っていました。本当に悔しかったです。
こんなにコンディションのいい車なのに、なんでこんな値段で売らないといけないんだと、本当にいつも思っていました。
ただ、その時に買ってくださったお客さんに関しては、本当に感謝しかありません。
とはいえ当時は、もうずっと悶々としていました。
利益なんて、はっきり言ってほとんどありません。
とにかくキャッシュをつくることに必死で、1台あたりの利益なんて考えている暇はなかったんです。
利益よりも「現金をつくること」が最優先だった

この局面で僕たちが優先したのは、利益ではなく現金でした。
とにかく現金に換えないと、という思いだけで、それしか考えていませんでした。
補足)経営が厳しい局面では、利益よりキャッシュ確保が優先されることがある
一般に、在庫を持つ業種では、平常時と緊急時で重視する数字が変わることがあります。
通常であれば粗利や利益率が重要ですが、資金繰りが厳しい局面では、まず現金を確保して事業を止めないことが優先される場合があります。
また、在庫は抱え続けるほど保管や維持にコストがかかりやすく、時間の経過とともに資金を圧迫していくという性質もあります。
そのため、条件の良い在庫であっても早めに現金化を優先し、1台あたりの利益を取りにいけない局面が生まれることもあります。
コロナ禍で急増したデリバリー需要

ここで、当時のアメリカの状況を少し振り返らせてください。
皆さん覚えていますでしょうか。
あの頃、Uber Eatsがものすごく流行りましたよね。
アメリカだと、Uber EatsやDoorDashなど、いろいろな会社の存在感が一気に高まっていきました。
日本の当時の状況は僕もあまり知らないのですが、アメリカではとにかく、そうしたデリバリーサービスが流行っていました。
外部環境が急変すると、これまで動かなかった需要が一気に立ち上がることがある
景気変動や社会環境の変化が大きい時には、それまで目立たなかったサービス需要が一気に立ち上がることがあります。
特に行動制限や生活様式の変化が起きる局面では、移動・配送・短期利用のような分野で急激な需要増が起こることもあります。
こうした変化は新しい商機にも見えますが、その分だけ通常時とは違う前提で見極める必要があるとも言えます。
そもそも当時はロックダウンの影響で、レストランの店内飲食が大きく制限されていた時期でした。
そのため、テイクアウトやデリバリーで食事を注文する人がかなり増えていたのだと思います。
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「ドライバーに車を貸す」というアイデア

その頃、Uber EatsやDoorDashといったデリバリーサービスのドライバーをする人が、とにかくたくさんいました。
一方で僕たちは、まだまだ大量の在庫を抱えていました。
どうしようかと考える中で思いついたのが、そうしたフードデリバリーのドライバー向けに、車の貸し出しを行ったらどうだろう、というアイデアだったんです。
実際、車で配達するドライバーの多くは、自分たちの車を使って働いています。
仕事で自家用車を使う人にとって、車両コストは想像以上に重い
一般に、配送や営業のように仕事で車を使う人にとっては、ガソリン代だけでなく、
走行距離の増加による消耗、整備費、故障リスク、資産価値の低下まで含めて車両コストが発生します。
そのため、一定の条件がそろえば、自前で車を持つより、必要な期間だけ利用できる仕組みに魅力を感じる人が出てくることがあります。
つまり、利用者側から見ても、車の貸し出しサービスには合理性がある場合があるわけです。
だから、もし僕たちが車の貸し出しを行って、しかも全部込み込み、保険からメンテナンスまで、
さすがにガソリンは込みにできませんが、それ以外は全部込みにして貸してあげたらどうだろう、という案が飛び出したんです。
在庫を抱える側と車を必要とする側の需要が一致すると、新しい商機に見えやすい
市場環境が大きく変わる時には、それまで動かなかった在庫や設備が、別の用途で価値を持つことがあります。
特に、在庫を抱えている側と、短期的に車や機材を必要としている側のニーズが一致すると、
既存資産を活用した新しい打ち手として魅力的に見えやすくなります。
保険もメンテも全部込み込みの商品を設計した
僕たちはすぐに会議を開きました。
もうこれは、やってみないと分からない。
そういうことで、全部込み込みのリースを、Uber Eatsのドライバー向けに商品として作ったんです。
「全部込み込み」の商品は、利用者には分かりやすい反面、提供側の管理項目は増えやすい
一般に、保険・整備・メンテナンスなどをまとめた「込み込み型」の商品は、利用者にとって内容が分かりやすく、比較もしやすいというメリットがあります。
一方で、提供する側から見ると、料金に含める項目が増えるほど、運用・回収・メンテナンスの管理は複雑になりやすいという側面もあります。
そのため、商品設計として魅力があっても、運用面では別の難しさが出てくることがあります。
私たちは、ウェブサイトも特急工事で作って、すぐに広告を打つことにしました。
すると、思いもよらないほど電話がバンバン鳴って、そこからはもう大忙しでした。
一気に30台が動いて、希望が見えた

結果として、一気に30台くらいを貸し出すことができました。
その時は、もうこれで生き延びられる、と思いましたね。
首の皮一枚つながった、そんな感覚で、みんなで喜んでいました。
補足)初動の反応が良い施策ほど、継続性を慎重に見る必要がある
新しい施策は、立ち上がり直後の反応が強いと、それだけで成功に見えることがあります。
ただ、初動の問い合わせ数や契約数が多いことと、継続的に回収できる事業であることは、必ずしも同じではありません。
そのため、反応の良さだけで判断すると、後から回収・管理・継続運用のリスクが見えてくることもあります。
でも、ここからが悲劇の始まりでした
ここまでだけを見ると、危機の中で見つけた見事な打ち手のように思えます。
実際、その時点では僕たちも、かなり合理的な一手だと信じていました。
でも、ここからが悲劇の始まりだったんです。
この続き、つまり「儲かるはずの施策」がどのように最悪の誤算へと変わっていったのかは、後編でじっくりお話しします。
まとめ
今回は、コロナ禍で在庫70台を抱えたエコドライブが、デリバリードライバー向けの車の貸し出しという施策にたどり着くまでの流れをお話ししました。
利益よりも現金を優先せざるを得ない状況、急増するデリバリー需要、そして在庫と需要がかみ合って見えた瞬間。
その一つひとつは、決して的外れな判断ではなかったと思います。
むしろ、追い込まれた状況の中で手持ちの資産を活かそうとした、前向きな一手だったとも言えます。
それでも事業は、思わぬ方向へと進んでいきました。
失敗は行動した証であり、そこには必ず収穫があります。
その収穫が何だったのかも含め、続きは後編でお届けしますので、ぜひ楽しみにしていてください。
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